【感想】「飢餓海峡」(1965年)監督:内田吐夢
また緊急事態宣言が発令されましたね。
去年の今頃は、六本木のレストランで働いてたので、
勤務時間が短くなるのが、実は嬉しかったのを覚えています。
台風で学校が休みになればいいのに、、
というような感覚。私だけじゃないはず。
早く元の生活に戻れますように。
今日もまた引きこもり生活なので、映画を観ます。
皆さんはきっと最近話題の映画を観るんだと思いますが、こんな時だからこそ、自分が生まれる前の時代にロマンを、思いを馳せて見てもよいのでは?と思います。
今回の紹介は、昭和の名作
「飢餓海峡」(1965)
作品情報
配給:東映
原作:水上勉
脚本:鈴木尚之
監督:内田吐夢
昨年、没後50年を迎えた巨匠・内田吐夢監督の作品です。
この作品は私が今まで観た中で、一番”怖い”と思った映画です。
ホラー、ではなく、人間の怖さが引き立ってる。
ちなみにクレジットの中に私の祖父の名前が入っているのです。
それきっかけで、観たのが経緯です。
今回は月額視聴ではなく、7日間レンタルで400円です。
なぜ7日間なんだ?って思ったけど、「DVD借りて、観たいときに見よう、と思ってたのに予定入っちゃって結局7日目にまとめて観ることになっちゃった^^;」とかそういう場合に適してるのかな?w
主な登場人物
・杉戸八重⇨左幸子
・弓坂吉太郎⇨伴淳三郎
・味村時雄⇨高倉健
もう、私でも知ってるよ。
日本を代表する名優が出演してます。豪華です。
〜あらすじ〜
終戦間もない頃、台風により転覆した青函連絡船の遭難者の中に、他殺死体が紛れ込んでいた…。水上勉の長編推理小説を内田吐夢が重量感のあるドラマに描き上げた不朽の名作。https://www.toei-video.co.jp/catalog/dutd02101/飢餓海峡 | 東映ビデオオフィシャルサイト
東映のサイトは、上記の二行でした。
以下は、Amazon Primeからの引用です。
見所ポイント
▼視覚と聴覚でゾッとする
撮影方法とか、カメラが何ミリとか、正直いってわかりません。🙅♀️
数字と細かいことを覚えるのが苦手です。
一応調べたので記載しておきます。
「東映W106方式」という撮影方法を採用してるんだそうです。
「106」というのは「トム」からきてるという説もあり。
映像の質感が、時代背景をかもし出しています。
途中、動脈?みたいな映像に切り替わるシーンは正直始めて見た映像だったので戸惑いました。というか絶対忘れられない。
最後まで見た上で、主人公の記憶・後悔を植え付けている場面だった、と気づきました。奥が深い。
様々映像技法が使われていますが、音効も印象的です。
楽器を使った音楽も流れますが、どうしても画面から目を話せなくなるのが、人のうめき声、喘ぎ声、お経、叫び声です。
事件が困窮してきたり、主人公・犬飼(後の樽見)が逃げ回ってるときとか細部に出てきます。
とにかく怖いです。人の声が音楽みたい、じゃなくて、人の声が効果音。
不安とか恐怖とかネガティブな思考を煽るような使い方をしてます。
犬飼はとにかく何人か殺しているので、殺した人の怨念や後悔を感じているはず。その心境と脳内を観せられてるような感覚に陥ります。
▼日本列島横断!豪華ロケーション!
物語は北海道から始まります。
強盗事件を起こした、犬飼が北海道から脱して内陸に逃げます。
内陸・青森に行く道中で娼婦・八重と出会い、その後八重を追いかけて一夜を共にします。この時点で青森に一旦います。
翌日逃げた犬飼を追って北海道警察が、犬飼を追って宿にたどり着きますが肩透かし。
八重は直後に上京します。
ここからの舞台は東京と北海道がメインです。
上京した八重が情報を握ってて怪しい、と見た弓坂刑事は、追いかけて上京。
“上野驛”に到着します。旧漢字って興奮する。
結局弓坂刑事はこの後北海道に戻り退職したみたいです。
時が経ち、名前を変えて京都で事業を起こしていた、犬飼こと樽見に関わる死亡事件が起こった。
京都で事件を担当する味村は、事件の捜査をするうち、数年前北海道で発生した事件にたどり着く。そこで、当時の担当刑事・弓坂に直接会いに行き、応援を依頼する。
そのまま二人は北海道と京都を行ったり来たりします。
もう観終わっちゃうと、どういう流れだったか、忘れちゃいました。
移動途中の荒波や景色は恐ろしくも美しいです。
▼事件に奔走する刑事たち
この映画の大事な部分。
正義感溢れる刑事たちの奔走する姿です。
やはり高倉健さんに注目をすべきかもしれませんが、一番個性を発揮してたのは、弓坂刑事演じる伴淳三郎さんです。
この当時の映画はアフレコですけど、青森なまり?がリアル。
調べたら山形県出身と記載がありました。
もともとコメディアンとして活躍なさってたようですが、本作で『毎日映画コンクール男優助演賞』を受賞してます。
昨今の芸人さんが俳優に転身するパターンの走りと言っても過言ではないと思います。
ちなみに1951年の流行語「アジャパー」は伴淳三郎さんのセリフだったんだそうです。聞き馴染みのある言葉ではありませんが、テレビっ子なので一度は耳にしたことがあるワードです。
現代であれば、志村けんさんのような方とお見受けします。
志村けんさんが演じる「キネマの神様」観てみたかったな、、、
感想
戦後困窮してる人たちの生き様。
貧しい生活を強いられ、人の影に隠れてきたけど、手に入れられる“欲”を眼前にしたとき、人は本性を表す。
ヒロインの愛する人を純粋に思う気持ち。苦しい生活だけど、困窮した生活を打破しよう、と前向きに生きる人の姿。
時代に翻弄されながらも、事件を紐解く刑事の正義感。
とにかく、人に危害を加えたりする人は悪いんだけど、最終的にはなんか、生きていくのって大変だよな。と考えさせられます。
内田吐夢監督の技法に飲み込まれ、、最後のシーンで喪失感を感じました。
余談ですが、カラオケでは必ず
石川さゆりさんの「飢餓海峡」と「津軽海峡・冬景色」の2大海峡ソングはセットで歌います。
ぜひ観終わった後に聞いてみてください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
では、寝ます。